"絆" KIZUNA プロジェクト 2009 報告
Peace Field Japanは、8月に"絆" KIZUNAプロジェクトを行いました。
これは、イスラエル、日本、パレスチナの青少年が日本の緑豊かな山里で共に合宿し、他の地域の人たちの暮らし、文化、伝統に触れることを通して、文化の違いを越えてお互いを理解しあい、絆を築くことをめざすプログラムです。
プログラム概要
1) 参加者:
イスラエルの高校生女子4名、指導者1名
パレスチナ(西岸)の高校生女子4名、指導者1名
日本の16才から19才の女子4名
2) 開催地:山梨県北杜市、小菅村、東京都内
3) プログラム概要:
期 間:8月9日~21日
場 所:山梨県北杜市、小菅村、東京都内
参加者:イスラエル、日本、パレスチナの16~19才の青少年各4人
主 催:認定特定非営利活動法人PEACE FIELD JAPAN
助 成:独立行政法人国際交流基金
協 力:財団法人キープ協会
後 援:外務省、文部科学省、小菅村役場、小菅村教育委員会
協 賛:東京海上日動火災保険株式会社、横浜南ロータリークラブ、株式会社はくばく、有限会社サステイナブル研究所、株式会社佐武、株式会社 印傳屋 上原勇七
物品協賛:株式会社東あられ本舗、アールジープロデユースジャパン株式会社、インド&パキスタンレストラン スルターン、新亜細亜貿易株式会社、日本ミルクコミュニティ株式会社
特別寄付:細野香織
4) 日 程:
8月 9日(日) 日本到着 山梨県北杜市へ移動
8月10日(月) アイスブレークプログラム
8月11日(火) 保育園訪問、対話プログラム、小菅村に移動
8月12日(水) 生活のルール作り、小菅村の子どもたちとの交流、家族/暮らし紹介、アートプログラム1
8月13日(木) 集落散策、心の痛みの分かち合い、そばせん作り体験、スポーツ
8月14日(金) 農業体験(畑の整地、そばの種まき)、ホームステイ
8月15日(土) 夏祭り/浴衣体験
8月16日(日) 山登り
8月17日(月) 源流の森と水を考える(雄滝、下水処理場、林業廃棄物センター見学、間伐体験)
8月18日(火) わら草履作り、そばうち、行動計画作り
8月19日(水) アートプログラム2、お礼の会
8月20日(木) 東京視察、フェアウェルパーティー
8月21日(金) 帰国
プログラム内容
8月9日
日本人参加者が成田空港で出迎えた後、清里のキープ協会に移動し、プログラムが始まりました。
8月10日
KEEP自然学校の小西さんのアイスブレークのプログラムで一気に打ち解け、酪農場で乳搾りも体験しました。
夜は自然の中で落ち着いてふりかえる時間をとりました。
8月11日
保育園を訪問し、未来の担い手である子どもたちと交流しました。
午後は対話セッションを行い、それぞれの人生の中で楽しかったこと、悲しかったこと、家族の思い出を共有しました。
夕方、多くのボランティアスタッフが待ち受ける中、小菅村に到着しました。45畳の部屋で一緒に寝泊まりする、12人の共同生活がスタートしました。
8月12日
また、小菅村の子どもたちとビーチバレーと中東の伝統の遊びで交流しました。
その後、お互いのバックグラウンドを知るために、学校や友達、家族、家などの写真を見せながら発表し合いました。
それまで持っていた相手の暮らしに対するイメージとの違いに気づくことができました。
さらに、アートプログラムを行い、大きな一枚の紙にその時感じていることを表現する絵を描き、どうしてその絵を描いたのか発表し合いました。
自身のアイデンティティとの葛藤を表現した絵、プログラムの中で参加者同士の関係が構築されていくプロセスを描いた絵、プログラムの楽しさを表現した絵と様々でした。
8月13日
日本の山村に共通する課題についても学びました。集落の方々が地域の特産である
蕎麦を使って作っている「そばせんべい作り」を体験させていただきました。
また、今年初めての試みとして、森の中で心の痛みを分かち合う対話を行いました。
プログラムが始まってから、同じ世代の女の子としていい関係を作ることができていても、イスラエル人とパレスチナ人の参加者が暮らす地域の政治的な現実があるので、ふれるのを避けるのではなく、お互いの心の中にある痛みを受け入れ、一緒に乗り越えていくことを目指しました。
この対話によって、両者の関係は一気に近づき、一つのグループ、姉妹としての認識を持つことができました。その後の毎年恒例の川遊びで大はしゃぎし、大縄跳び、12人13脚などのスポーツもして、参加者全員の気持ちを一つにすることができました。
8月14日
また、畑で採りたての野菜を食べさせていただき、自分の手で食べものを作ることの意味について考えることができました。
夕方からイスラエル、日本、パレスチナの参加者が1人ずつ1グループになってホームステイに行き、ホストファミリーと楽しい時間を過ごしました。
8月15日
週末だけ参加できる社会人ボランティアが多数訪れ、夏祭りを企画、ラムネの一気飲み競争や豪快なスイカ割り、炭坑節をみんなで踊ったり、花火をして盛り上がりました。
集落の方々が地元でとれた新鮮な野菜や、村で養殖されているマスなどを使って、おいしい料理を作ってくださいました。
8月16日
声を掛けあい、手を引き助け合う場面もありました。人工林、自然林、間伐されている森、様々な森の木々の下を歩き、全員で頂上まで登った達成感を味わうことができました。
夜は里山講座と題して、日本の里山の意味と現状について学び、四季の里山の風景のスライドショーを見ました。
8月17日
また、間伐体験を行い、守重さんの森で、全員で2本のヒノキの木を切り、コースターを作りました。
8月18日
細かな作業に悪戦苦闘しながらも全員がわら草履を編み上げ、自分たちで打った蕎麦を味わいました。伝統文化の視点から、それぞれの文化の共通性や、伝統文化を継承していくことの大切さを考えました。
また、プログラムで学んだことを、それぞれの地域に戻ってどう活かすか考えるために、行動計画を作りました。各グループで、期間ごとに目標を定め、発表しあいました。
8月19日
また、最後の共同作業となる、夜のお礼の会を行うために、午前中から飾り付けや料理作りをしました。お礼の会には、お世話になった村の方々をお招きし、中東料理を楽しんでいただいた後、三地域の踊りを披露しました。
8月20日
8月21日
解散、帰国。
参加者からのメッセージ
平和に関する話し合いも政治のことは抜きにして相手を一人の人間としてみることができた。
(イスラエル)
伝統的な食べ物、踊りを共有し、楽しむことができた。対話ができたことも良かった。
それができたのは私たちが協力した結果だと思う。
(パレスチナ)
プロジェクトの参加者とは、怒り、痛み、つながり、友情を共有できたと思う。
(イスラエル)
(パレスチナ)
このプログラムはとても教育的で成長させてくれる大事なプログラムだった。
将来への影響も大きく、参加したみんなの人生の見方が変わったと思う。
精神的にも自分をコントロールし、違う他者に対して心を開き、真実に耳を傾けて理解し、友を知り、新しいグループとして生活することを学んだ。
(イスラエル)
他者と協調すること、他者を愛すること、団結すること、他者の意見を聞くことを学んだ。
また、踊りや日本の食べ物、みんなで一緒に寝ること、異文化の中での生活、約束、時間と規則を守ることを学んだ。
(パレスチナ)
また、文化も考え方も違う2カ国の人と生活して、協力すること、難しいところ、良いところなど本当に、ここに来なければ分からないことをたくさん学べた。
(日本)
自分たちで作った「アクションプラン」にしたがって行動したい。
この計画を実行することを宣言したい。
キブツの人や友人たちに私と同じように活動してもらえるように、私がプログラムを通して納得したように、他の人たちを納得させられるよう全力で取り組みたいと思う。
(イスラエル)
自然を守る努力をしたいし、自然に対してより配慮していきたい。
まわりの人たちにも伝えていきたい。
(パレスチナ)
日本の文化・伝統を守りたいと思った。今の私たちは何も知らないと思ったし、自分の国の文化を堂々と外国に紹介できるようになりたいと思った。
やはり自然の大切さや自分の身近なことについて考えようと思うようになった。
また、人々の苦労がわかる人になりたいと思った。
(日本)
(パレスチナ)